中国 著名な企業名称の模倣出願に関する判例(DOWCORNING事件)

Vol.19(2014年7月3日)

事件の概要

Xによる登録商標「道康寧及び」(本件商標)に対し、Y(米ダウコーニング)は本件商標は自身が有する先登録商標「DOWCORNING」に類似し、商標法第32条「先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で先取り登録してはならない。」という異議理由に該当するとして異議申立を行ったが、維持決定が下された。本件はその取消訴訟である。一審ではYの主張は認められなかったが、二審では一審と異なりYの主張を認める判決を下した(2013高民終字第2260号行政判決書)。

本件商標 Yの引用商標
非金属材料、ガラス用建築材料、軟膏等 シリコンを含有する樹脂、プラスチック等

北京市高級人民裁判所の見解

証拠に依れば、本件商標の出願日より前に、Yは「DOWCORNING」を商標及び商号として中国で宣伝及び使用を行っている。Yは世界大手シリカゲル製造企業の1つであり、中国国内及び海外のいずれにおいても高い知名度を有しており、Yのシリカゲル製品は建築業界で広範にわたり使用されている。本件商標の指定商品は何れも非金属建築材料であり、Yが製造するシリカゲル材料とは高度な関連を有し、消費者群も類似する。また「DOWCORNING」は特別な意義のない造語であり独創性が高く、異なる者がこれと高度に類似する商標を選択し出願する偶然性は極めて低い。よって本件商標の出願は主観的な悪意を有すると推定することができる。

キーワード:商標 判決紹介 中国 商標類否

 

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