中国 指定商品の類否判断に関する判例(妮維雅(NIVEA)事件)

Vol.11(2013年11月7日)

事件の概要

Xによる登録商標「NIVEA」(第8類:電動爪磨き機、ピンセット、剃刀等化粧品、ヘアケア剤用品、以下本件商標)に対し、独Beiersdorf AGが自身の商標を引用し異議申立を行ったが、維持審決が下されたため、取消訴訟が提起された事件である。本件においては、引用商標は中国における著名商標(馳名商標)とは認定されていないことから、異議申立人は著名商標に係る不登録事由に基づいた主張はできず、他人の先登録商標と類似し商品役務も類似する場合は登録できないという中国商標法第30条の規定による主張を行った。そして引用商標の指定商品は第3類の化粧品、香水等であったことから、本件においては本件商標と引用商標の商品類否が争点となった。なお、漢字「妮維雅」はNIVEAの発音からとったものであり、妮維雅とNIVEAの称呼は類似するという点に争いはない。

本件商標 引用商標
第8類:
電動爪磨き機、ピンセット、剃刀等化粧品、ヘアケア剤用品など
第3類:
化粧品、香水等

審決及び復審における判断

本件商標と引用商標は類似する。しかし、本件商標の商品「電動爪磨き機、ピンセット等」と引用商標の商品「香水、化粧品等」は機能、用途、材料の上で区別が明確であり、類似関係には当たらない。よって商標法第30条の不登録事由には該当しない。

中級人民裁判所の見解

中級人民裁判所は次のように述べ、審決及び復審決定を取り消す判決を下した。

引用商標の指定商品は化粧品又はヘアケア用品であり、本件商標の指定商品は化粧品ではないが化粧用具又はヘアケア用器具に属し、化粧又はヘアケア行為と関連がある。そして、化粧品と化粧用具又はヘアケア用器具では、基本的に関連公衆は同一である。化粧品又はヘアケア用品を生産する企業には同時に化粧用具又はヘアケア用器具を生産する企業も存在する。引用商標は高い知名度を有することも合わせて考慮すると、本件商標と引用商標が同時に上記商品において使用された場合、関連公衆に両者が同一の提供者であると誤認させる可能性がある。

高級人民裁判所の見解

高級人民裁判所は次のように述べ、中級人民裁判所同様、本件商標は取消されるべきという見解を示した

本件商標権者Xは、指定商品が同一又は類似するかどうかは、《類似商品又は服務区分表》を主要参考基準としなければならず、本件において両者は異なる類似群に属することから、両商標の指定商品は類似しない、と主張する。

《類似商品又は服務区分表》を参考にすることはできるが、商標の主要な機能は商品又は役務の出所を表すことにあり、商標の類否を判断する際には、指定商品の物理属性のみについて比較を行うのではなく、商標が共存できるかどうか又は商標保護範囲を決定できるかどうかについて考慮しなければならず、出所混同を避けることは商品類否の判断における基本原則である。よって商品の機能、用途、販売チャネル、消費者群等がどれほど関連性があるか、両商標の共存は関連公衆に容易に混同を抱かせるかどうか、ということを考慮しなければならない。本件商標の指定商品は化粧用具又はヘアケア用具に属し、引用商標の指定商品である化粧品又はヘアケア用品とは販売チャネル、消費者群等において一定の関係性があり、密接につながっているといえる。同時に、引用商標は高い知名度を有し、関連公衆は中国語「妮維雅」と「NIVEA」に対応関係があることを認識している。電動爪磨き器、ピンセット等の商品における本件商標と、香水、化粧品等の商品におけ引用商標が共存した場合、両商標の商品が同一主体により提供されている又はその提供者間で特定のつながりがあると関連公衆に容易に認識させることが予測され、商品の出所に対し混同誤認を抱かせることは明らかである。

キーワード:商標 判決紹介中国 商品役務

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