台湾 「native Shoes」商標、識別力有さない(native shoes事件)

Vol.1(2013年5月8日)

アメリカのオバマ大統領の次女サーシャも履いたことがあり、台湾国内外の多数の芸能人も好んで履いているカナダのトレンドシューズブランドNative Shoesが、台湾での商標登録出願で壁にぶつかっている。

事件の概要

Native Shoesブランドが香港に設立したアジア子会社納提芙鞋業有限公司(以下「納提芙公司」)は、2011年6月30日に商標「」(本件商標)を台湾で出願したが拒絶査定を受けたため、訴願を経て知的財産裁判所へ行政訴訟を提起した。しかし、知的財産裁判所は、本件商標は識別力を有しないとし請求棄却判決を下した(知的財産裁判所2012年度行商訴字第143号判決)1

原告の主張

納提芙公司は、「native Shoes」という語は英語の文法及び言語習慣に適っていない独創性のある文字であり、もし自国の靴、地元の靴ということを表したい場合はlocally-made shoes又はlocal shoesと示すはずであること、及び、本件商標は英語圏のアメリカ及び中国語圏の香港を含めた世界各国で登録を認められており、本件商標は識別力を有すること、などを主張した。

判旨

「native」は「地元の、原産の」という意味、「shoes」は「靴」という意味であること、我が国の関連消費者の母国語は中国語であることから、「native Shoes」という文字に対して台湾関連消費者は「地元の又は地元産の靴」と認識し、「native Shoes」から出所を識別するとはいえず、本件商標は識別力を有するとまではいえない。アメリカ・EU等の国々と我が国の関係消費者では、「native Shoes」に対する認識とは異なる。また、香港は中国語を使用しているが、社会、文化、経済や政治等の方面において我が国とは完全に異なり、香港の関係消費者が抱く観念も、台湾のそれとは全く異なる上、各国の商標審査における判断基準にも差がある。本件商標「Native Shoes」の識別力については、我が国の関係消費者の理解と認識を、判断基準としなければならない。使用による識別力獲得について、納提芙公司は台湾における長期広範な使用により本件商標が使用による識別力を獲得した証拠を提出していない。

[1] なお、本件は後に最高行政裁判所へ上訴されたが、最高行政裁判所も原審判決を維持する判決を下している(最高行政裁判所2013年度判字第523号)。

キーワード:商標 判決紹介 台湾 識別力

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