台湾商標、情報提供に関する規定を公表・制度化

台湾特許庁は2019年6月20日、「商標登録出願第三者意見書作業要点」を発布した。審査中の商標登録出願に対し、当該出願には不登録事由があると考える第三者は、台湾特許庁に対し書面を提出し情報を提供することができる、いわゆる「情報提供制度」に関する規定である。商標における情報提供は台湾でもこれまで実務としては運用されていたが、明文化はされていなかった。今回公表された要点の主な内容を以下に紹介する。

匿名での提出

何人も、匿名で情報提供をすることができる。

審査官の対応方法

審査官は、提出された資料の内容を採用する場合、提出資料を出願人に送付しなければならない。提出資料を出願人に送付せずに、情報提供で提出された資料の内容を採用してはならない。

情報の採用結果

情報提供で提出された資料が採用されたか否かについて、台湾特許庁は情報提供者に回答する必要はなく、また対象出願の審査結果を情報提供者に通知する必要もない。

弊所コメント

情報提供は、審査段階で他人の商標の登録を阻止し、後の異議申立てや無効審判請求による負担を軽減できるために非常に有用である。台湾でも冒認出願は増加傾向にあり、登録後の段階で異議申立てや無効審判により登録を取消すだけでなく、出願がされた事実が明らかになった時点で情報提供を行うことも冒認された者にとって重要な方策となる。

要点では、匿名で情報提供書を提出できると規定されている。ただし、審査官は情報提供された内容について関連証拠が不足していると認める場合、主体的に情報提供者と連絡をとり関連証拠を補足するよう求めることができる。よって、匿名で意見書が提出され代理人もいない場合、審査官は情報提供者と連絡をとることができず、結果として情報提供の内容が採用されない恐れがある。なお情報提供者が在外人の場合、情報提供は代理人に委任する必要があるため、匿名で情報提供を行っても上述の事態は生じない。

今回公布された要点の規定によれば、充分且つ完全な資料でなければ情報提供をすることができないというわけではない。近年台湾では商標の審査期間は短くなってきており(約6~8カ月)、一定の資料がそろった早期の段階で情報提供を行うことが好ましい。その後更なる資料が見つかれば、改めて情報提供を行うことも可能である。

キーワード:商標 法改正

 

 

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