台湾 不使用取消における商標使用態様に関する判例(柔情ロゴ事件)

Vol.23(2014年12月19日)

事件の概要

本件は不使用取消審判における商標の使用に関する事例である。指定商品を第3類の「衣類・バストイレ・キッチン用洗剤」等とするXの登録商標「」(以下、本件商標)に対して不使用取消審判が請求され、「石鹸、フェイスクリーム、シャンプー、香水」等(以下A部分商品)については取消審決、「衣類・バストイレ・キッチン用洗剤、タイル用洗剤、漂白剤、衣類用漂白剤」等(以下B指定商品)については維持審決が下された。本件はB部分商品の維持審決に対する審決取消訴訟である。知的財産裁判所は台湾特許庁による審決を維持する判決を下している(2013年度行商訴第102号)。

知的財産裁判所の見解

行政訴訟の目的は公益のみでなく当事者の私権をも保護することにあり、商標訴訟の多くは当事者個人の財産権に関わるものである。立証責任分配の法則及び心証の程度により、当事者の一方が「証拠の優勢」を取得し、真実の経験に合致すると裁判所に蓋然性の高い心証を形成させるに足りたと認められれば、要証事実の存在が肯定される。証拠の証明力が高く信用できる場合は、事実を審理する裁判所に争点事実が存在すると認定させ、蓋然性の高い心証の程度まで達することになる。具体的事件の審理において、当事者双方が主張する事実及び提出された証拠について比較した結果、「要証事実」について上述の蓋然性の高い心証の程度まで達した場合は、裁判所は当事者が主張した事実を真実を認めなければならない。

審判請求人は「本件商標が付されたガラス用洗剤等の商品ラベルはいつでも印刷できる印刷物であり、上部に「2011.3.25」と記されているが、これが本当の製造年月日であるとは認定しがたい。」と主張する。

ここで、商標権者が提出した「ガラス用洗剤」や「キッチン用洗剤」製品の実物写真を見ると、商品のラベルはボトル自身と一体にはなっていないが、ラベルはシールによりボトルに貼り付けられ、ラベルには製造年月日がに印字されている。しかし洗剤等同種の商品において商品包装上又は容器上に商品ラベルを貼り付け、商品ラベル上に保存期限と製造年月日を印字するという方法は、業界で一般的に行われている方法であり、市場の習慣となっている。よって、本件商標の使用態様は現在の商業取引上の習慣に違反しておらず、社会通念上において登録商標との同一性を失ってはいない。

審判請求人はまた「一部の指定商品の写真、輸出通関申告書等に付された本件商標には「柔情」という文字があるが羊の図が付されていない。」と主張する。

商標権者が提出空いた統一レシート、製品の実物写真・関税申告記録及び輸出通関申告書等はいずれも一般的な販売製品状況を示すものと認めることができる。よって本件審判請求日の三年前から本件商標が使用されていたという事実を肯定できる。一部証拠における本件商標の使用態様は羊の図が無く「柔情」文字のみであると審判請求人は主張するが、多くの証拠における使用方法が商標使用について規定している現行商標法第5条に違反していないことは明らかであり、商標を商品に表示する位置又は商標の大きさ等はいずれも商標権者が自由に使用できる範囲に属する。本件における商標権者による商標の使用は社会通念上における登録商標との同一性を失っているとは認められない

 

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