中国「専利法実施細則」及び「専利審査指南」の改正法を公表

2024年1月16日

2023年12月11日、中国国務院は「中華人民共和国専利法実施細則」の改正条文を公表した。同時に、中国国家知識産権局は前記改正条文に基づき、「専利審査指南」を改正した。改正後の新専利法実施細則及び新専利審査指南は、いずれも2024年1月20日から実行される予定である。主な改正ポイントは、以下の通りである。

1. 無効宣告手続（特許無効審判）について

(1) 改正後の新専利法実施細則において、合議体が職権により導入できる特許無効理由に誠実信用原則を取り入れる条文（第11条）が追加された。

(2) 改正後の新専利審査指南によれば、無効宣告審判により無効宣告決定が下された特許権について、前記決定の効力が生じるか否かに関係なく、前記特許権に対する新しい無効宣告請求は受理しない。

(3) 改正後の新専利審査指南によれば、受理された無効宣告請求が先に下された他の無効宣告請求決定に関連し、審査を一旦停止する必要がある場合、その影響要因が消滅すれば前記無効宣告請求に対する審査を再開できる。

(4) 改正後の新専利審査指南において、無効宣告手続中の特許案件に対する手続中止請求について、中止請求の乱用を防止するため、特許無効宣告手続を中止できない状況が更に追加された。

(5) 改正後の新専利審査指南において、口頭審理の定義が明確にされた。口頭審理には、オフライン審理、オンライン審理、又はその両方の組み合わせ等の方法を採用できる。事実が明確で焦点が絞られている単純な案件では、裁判長が合議体の代表として単独出席して口頭審理を執り行うことができる。

2.意匠（外観設計特許）出願について

(1) 改正後の新専利審査指南において、意匠出願の審査における全体観察や総合判断原則が更に細分化され、実質的同一の判断基準と、組み合わせ可能な既存の設計的特徴に関する規定が最適化された。

(2) 改正後の新専利審査指南において、部分意匠が保護する範囲に、意匠の形状、模様、及び色彩のほか、製品全体における位置と比率関係も含まれることが明記された。

3.医薬品特許紛争早期解決メカニズムに関わる無効宣告請求案件について

(1) 改正後の新専利審査指南において、医薬品特許紛争早期解決メカニズムに関わる無効宣告請求案件ついて、以下の通りに規定された。

「係争特許は中国市販医薬品特許情報登記プラットフォームに登録されている特許権であること、請求人は対応する医薬品の後発医薬品申請者であること、及び第4類声明が出されたことを請求書に明記し、かつ後発医薬品登録申請受理通知書と第4類声明書類の副本等の関連する証明書類を添付する必要がある。」

(2) 複数の医薬品特許紛争早期解決メカニズムに関わる同一の特許権に対する無効宣告請求は、提出された日付順に審理する。

4.医薬品特許権の存続期間の延長について

改正後の新専利法実施細則において、第80～83条が追加された。

● 特許権の存続期間を延長できる新薬関連特許とは、新薬の製品特許、製造方法特許、及び医薬品用途特許である。

● 請求期間は、新薬が販売許可を受けた日から3か月以内である。関連条件は、以下の通りである。

(1) 1つの新薬に複数の特許が関連している場合、存続期間を延長できるのはそのうち1件の特許のみである。

(2) 1件の特許に複数の新薬が関連している場合、存続期間を延長できるのはそのうち1つの医薬品のみである。

(3) 1件の特許は存続期間を1回のみ延長できる。

● 延長日数は、特許出願日から新薬が販売許可を受けた日までの日数から5年を減算した期間である。その延長期間は5年を上限とし、かつ新薬が販売許可を受けた日からの合計存続期間が14年を超えてはならない。

● 延長期間中における特許権の保護範囲は、新医薬品に関連する技術及び認可された適応症に限られる。

5. 電子形式による提出の送達日について

改正前の専利法実施細則では、いかなる送達方法であっても公文書の送付日に15日を加えた日を当事者が書類を受領した日としていた。改正後の新専利法実施細則では、送達が電子形式で行われた場合、当事者が認可した電子出願システムに公文書が送付された日付が送達日となり、これにより、当事者の応答期限が短縮される。

6.グレースピリオドについて

改正後の新専利法実施細則によれば、中国国務院の関連主管部門により認可された国際組織が開催した学術カンファレンス又は技術カンファレンスで初めて発表された発明もグレースピリオドを享受できる。