台湾「知的財産案件審理法」の改正法が2023年8月30日より施行

2023年8月2日

台湾「知的財産案件審理法」の改正法が2023年8月30日より施行される。今回の改正は、知的財産案件審理法が施行されてから15年以来最も大幅な法改正となる。改正内容のポイントには、営業秘密侵害訴訟における第一審の管轄変更、審理計画制度の導入、弁護士強制代理制の採用拡大、争議案件の即時解決及び判決不一致の回避、査証制度及び専門家証人制度の導入、被害者参加制度の増設、技術審査官が作成した報告書の公表等が含まれる。

今回の改正は、営業秘密侵害訴訟及び特許権侵害訴訟に多大な影響を与えると思われる。

以下、「知的財産案件審理法」の改正法のポイントをまとめた。

1. 営業秘密侵害訴訟における保護の向上

営業秘密侵害に係る民事事件の第一審は知的財産及び商事裁判所の管轄とする。
営業秘密法第13条の1、第13条の2、第13条の3第3項及び第13条の4の違反行為(即ち営業秘密違反罪のほぼ全て)に係る刑事事件の第一審は、地方裁判所に代わり知的財産及び商事裁判所で審理を行う。
営業秘密に係る刑事事件の審理保護メカニズムを向上させるため、秘密保持命令違反に対する罰則を強化するほか、国外での秘密保持命令違反に対して罰則を設ける。

2. 弁護士強制代理制の採用拡大

当事者の権益を保護し、審理機能を促進するため、特定類型(専利権、コンピュータプログラムの著作権、営業秘密に係る民事訴訟事件一審、民事訴訟事件二審、第三審及び再審事件)の知的財産権侵害の民事事件は、必ず弁護士が代理しなければならない旨の規定を新設する。

3. 専門家の審理参加を促進

日本の特許法を参考に、当事者は訴訟提起後、裁判所に証拠収集手続きを行う中立な立場の専門家を指定するよう要請できる「査証」制度を導入する。
当事者間の紛争を専門的かつ適切・迅速に解決するため、商業事件審理法で採用されている「専門家証人制度」の準用を増設する。

4. 司法の電子化を促進

テクノロジー設備を利用することで訴訟手続きに参加できる対象を拡大するほか、判決原本を電子データで送達できるよう明定する。

5. 被害者参加制度の増設

被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法における「被害者の訴訟参加」に関する規定の準用を増設する。

6. 知的財産案件の審理集中化

弁護士強制代理制を採用する特定の案件において、又はその他案件であってもその複雑さや必要性に応じ、裁判所は当事者と審理計画を策定すべき旨の規定を増設する。

7. 審理機能の促進

技術審査官が作成した報告書について、裁判所が必要と認めた場合には、その全部又は一部を公表できる。また、当事者に弁論の機会を与えなければ、技術審査官が作成した報告書を判決の基礎として採用することはできない。
権利侵害行為の立証程度を下げ、侵害行為者に具体的な答弁の義務を課す。

8. 争議案件の即時解決

判決の不一致を避けるため、司法審理と行政審議間の情報交換制度、専用実施権に係る訴訟の告知義務及び知的財産権有効性判断の不一致による再審請求の制限に関する規定を増設する。

9. 実務争議の解決

「訂正の再抗弁」制度及び「付帯民事訴訟手続き」などの関連規定を修正し、争議訴訟の解決機能を強化する。

 

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