台湾 音商標の出願注意事項

音楽的性質な音声商標の場合、商標図案は五線譜又は数字譜で表示しなければならない;非音楽的性質の商標の場合、五線譜又は数字譜で表示することができないので、文字によりその音声を明瞭、完全に説明しなければならず、それによって音声商標のあらゆる特徴をカバーし、又、これを商標図案とする(商施18Ⅰ)。例えば「本件は音声商標であり、人が台湾語で大きな声で言った『福気啦』により構成されている。」又は「本件は音声商標であり、牛が石畳を2歩歩く蹄の音と、その後に続く牛の鳴き声から構成されている(clip,clop,moo)」。一方、音楽的性質と非音楽的性質を兼ねる音声商標については、商標図案において音楽的性質の部分を表示し、且つ商標記述においてせりふ又はその他の非音楽的性質の部分を説明しなければならない。

※商標記述及び商標見本

音声商標を五線譜又は数字譜で表示する場合、出願人は商標記述を提出し、文字を用いて音声に関する説明をしなければならない(商施18Ⅱ)。商標が単純な楽音である場合、例えば「Nokia Tune」商標は商標図案自体が商標を明瞭、完全に表示しているので、商標記述においては「本件は音声商標であり、その音声は商標図案に示された楽譜によって構成されている」と簡単に説明するだけで良い。もし商標は楽音及び歌詞以外に、せりふ又はその他の特徴を有するものである場合、説明しなければならない。「Enrich your life 国泰世華銀行」商標を例にすると、商標図案は楽譜であり、商標記述は「本件は音声商標であり、男の声で合唱方式によって共鳴音と豊富感を表現しており、商標見本で示された楽譜どおりに『ENRICH YOUR LIFE』を歌っている。」である。

又、「万応白花油の歌」の場合、商標図案は楽譜であり、商標記述は「本件は音声商標であり、子供の声で願書に添付する音符の通り歌いだし、せりふと歌から構成されいる。本件音声商標の歌詞は『僕には仲良しの友達がいる。いつでもどこでも僕のことを思っているよ。ララララ、万応白花油。元気をつけ、頭をすっきりさせ、頭痛もなくなる。(せりふ:白花油! 蚊や虫にかまれても腫れないよ、イエー!)、ララララ、万応白花油』」となっている。五線譜又は数字譜で音声商標を表示できない状況で、出願人は既に文字を用いて商標を説明しており、その性質が商標記述に類似しているときは、別途に商標記述を提出する必要はない。

音声商標は聴覚で感知するものであるから、たとえ音楽的性質の商標が楽譜又は数字譜によって商標を明瞭、完全に表示することができるにしても、やはり直接その音声を聴くほうが審査しやすく、非音楽的性質の商標の場合、更に音声見本による補足に頼ることになるため、出願人は音声を記録した電子ファイルを添付し、且つその形式は商標の主務官庁の公告した形式に合致したものでなければならない(商施 18Ⅲ)。

商標図案は商標権利範囲を決定する主体であり、商標記述(音楽的性質の商標の場合)と商標見本は商標権利範囲を確定するために商標図案の補助として用いられるものであるので、商標記述及び見本は商標図案と一致しなければならない。出願人は保護を取得しようとする商標の内容を間違いなく表現するため、出願時にその商標図案と商標記述の正確性に注意を払うことが望ましい。

※識別性

音声商標として登録を受けるには、他の形態の商標と同じく、その音声自体は商品又は役務の出所を示し、消費者にそれと他人の商品又は役務を区別させるに足るものでなければならない。音声商標はよく業者の経営理念又は商品役務の特色を現したり、又は消費者をひきつけるための広告の背景音楽とみなされるので、通常消費者がその音声を特定の出所と結びつけるようになるには、使用されることが必要である。このときはじめて、その音声は商標の出所識別機能が生じるので、登録を受けることができる。但し、音声商標が先天的識別性を有する可能性は排除しない。通常、単純なメロディー又はキャッチフレーズ、スローガンを歌いながら叫ぶ方式で登録出願する場合、往々にして使用により後天的識別性を取得しないと、登録を許可することはできない。例えば携帯電話を指定商品とする簡単な音符にのせた「通信のよき隣人」、又は一般的な歌又は長すぎる曲は原則として、後天的識別性を証明しないと、登録を許可することができない(商29Ⅱ)。但し、識別性の高い商標を含む簡潔で短い音声は先天的識別性を有するものと判断される可能性があり、例えばソプラノで歌う「Hi life,Hi life萊爾富」(コンビニエンスストア)、男声で歌う「YAHOO」等がある。「Hi life」、「萊爾富」及び「YAHOO」は高度な識別性を有する文字であるから、消費者がこの声を聴くと、その音声が特定の出所を伝えていると直ちに意識することができ、商品又は役務の出所を示す機能を具えるので、先天的識別性を有するものとする。

※説明的な音声

音声が指定商品又は役務の品質、用途、原料又はその特性に関する説明的なものである場合、関連する消費者にそれが商品又は役務の識別標識であることを十分に認識させることができないので、登録を取得することができない(商29Ⅰ①)。例えば音楽演奏役務について使用される有名なクラシック音楽の一節;ペット用品やペット医療役務に使用されるありふれた犬や猫の鳴き声である。

※通用的な音声

通用的な音声とは、業者が特定の商品又は役務について広く使用している音声で、既に社会大衆によく知られ聞き慣れたものとなっていることを指す。消費者はそれによって出所を識別することができないだけでなく、一人が排他的専属権を取得することによって公平な競争に影響することを防止すべきであるので、その登録を許可しない(商29Ⅰ②)。例えば:デパートではよく費玉清氏が歌う「グッドナイトソング」を顧客に対し本日の営業時間がまもなく終了するお知らせとして使用するので、この歌はデパート役務に通用する音声である;「乙女の祈り」はゴミ収集車がごみを回収しに来るときの音声であるので、清掃役務に通用する音声である;「結婚行進曲」は結婚式を行う際によく使用される音声であるので、結婚式手配役務又は喜餅商品に通用する音声である。

通用的な音声が一人によって独占的に使用されるとすれば、公平な競争に重大な影響を及ぼすことになるので、後天的識別性の証明という方式で登録を取得することはできない。

※その他の識別性のない音声

機器の操作に合わせて設定した音声、例えば小売役務におけるレジスターの精算処理時のチンという音声、電子レンジ商品における電子レンジ調理完了時のチンという音声、携帯電話商品における携帯電話の着信音は、原則として先天的識別性を有しないものとする(商30Ⅰ③)。そのほか、幼稚園役務における子供の笑い声、教育又は娯楽、競技を行う際の歓迎の声と拍手の音等、消費者が出所を識別する標識とすることができないものも先天的識別性を有しないものである。一般の歌又は長すぎる曲は、原則として商標が出所を示す機能を有しないものであるので、後天的識別性の取得を証明しないと、登録することができない。

※機能性

音声が商品又は役務の用途又は使用目的にとって必要不可欠であり、又は商品又は役務のコスト、品質に影響を与えるものであれば、機能性を有するので、登録を受けることができない(商30Ⅰ①)。機能性を有する音声には機器設備の通常操作時に自然に生じる音声が含まれる。例えばバイクやバイク用エンジンにおけるバイクのエンジン音、カメラ商品におけるカメラのシャッター音はいずれも機能性を具えている。そのほか、救急車警告音は救急車による搬送、救難支援の搬送に係る役務において警告という機能を具えている;車両運搬において車両をバックさせる際に運転手に注意を促すために発する周波数の異なるピッピッという音声も機能性を有する音声に属する。

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