「知的財産案件審理法」などの改正案が台湾司法院を通過 10大改正点の紹介

2022年6月30日

台湾司法院は24日に第202回院会を開催し、「知的財産案件審理法」や「知的財産及び商事裁判所組織法」の改正案を通過させた。知的財産案件審理法は14年前の施行以来、最も大幅な変更がなされている。

今回の主な改正点には、営業秘密侵害訴訟における保護の全面的向上、弁護士強制代理制の採用拡大、専門家の審理参加を促進、専利及び商標の争議案件取消訴訟における当事者構造の採用、司法の電子化促進及び被害者参加制度の増設、などが含まれる。今後、改正案は行政院へ送られ、立法院で最終審議にかけられる。

「知的財産案件審理法」の主な改正点を以下に紹介する(司法院の公表内容はこちら)。


1. 営業秘密侵害訴訟における保護の向上
  • 営業秘密侵害に係る民事事件の第一審は知的財産及び商事裁判所の管轄とする。
  • 営業秘密法第13条の1、第13条の2、第13条の3第3項及び第13条の4の違反行為(即ち営業秘密違反罪のほぼ全て)に係る刑事事件の第一審は、地方裁判所に代わり知的財産及び商事裁判所で審理を行う。
  • 営業秘密に係る刑事事件の審理保護メカニズムを向上させるため、秘密保持命令違反に対する罰則を強化するほか、国外での秘密保持命令違反に対して罰則を設ける。

2. 弁護士強制代理制の採用拡大

当事者の権益を保護し、審理機能を促進するため、特定類型の知的財産権侵害の民事事件は、必ず弁護士が代理しなければならない旨の規定を新設する。


3. 専門家の審理参加を促進
  • 日本の特許法を参考に、当事者は訴訟提起後、裁判所に証拠収集手続きを行う中立な立場の専門家を指定するよう要請できる「査証」制度を導入する。
  • 当事者間の紛争を専門的かつ適切・迅速に解決するため、商業事件審理法で採用されている「専門家証人制度」の準用を増設する。
  • 当事者以外の第三者、機関又は団体から書面による意見書提出を裁判所のウェブサイトにて公開募集する「アミカスブリーフ」制度を導入する。

4. 専利及び商標の争議案件取消訴訟における当事者構造の採用

経済部が起草した「専利法一部条文改正草案」及び「商標法一部条文改正草案」に対応するため、「専利又は商標の複審及び争議案件の手続き」に関する規定を増設する。


5. 司法の電子化を促進

テクノロジー設備を利用することで訴訟手続きに参加できる対象を拡大するほか、判決原本を電子データで送達できるよう明定する。


6. 被害者参加制度の増設

被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法における「被害者の訴訟参加」に関する規定の準用を増設する。


7. 知的財産案件の審理集中化

弁護士強制代理制を採用する特定の案件において、又はその他案件であってもその複雑さや必要性に応じ、裁判所は当事者と審理計画を策定すべき旨の規定を増設する。


8. 審理機能の促進
  • 技術審査官が作成した報告書について、裁判所が必要と認めた場合には、その全部又は一部を公表できる。また、当事者に弁論の機会を与えなければ、それを判決の基礎として採用することはできない。
  • 権利侵害行為の立証程度を下げ、侵害行為者に具体的な答弁の義務を課す。

9. 争議案件の即時解決

判決の不一致を避けるため、司法審理と行政審議間の情報交換制度、専用実施権に係る訴訟の告知義務及び専利有効性判断の不一致による再審査請求の制限に関する規定を増設する。


10. 実務争議の解決

「訂正の再抗弁」制度及び「付帯民事訴訟手続き」などの関連規定を修正し、争議訴訟の解決機能を強化する。

 

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