台湾における早期審査、PPHについて

各制度の概要・比較

現在、台湾で認められている早期審査制度には優先審査、加速審査及びPPHの 3種類が存在する。以下に各制度の特徴を比較した表を示す。

優先審査

請求可能時期

審査請求済みで出願公開後。

要件

出願人以外の第三者による商業上の実施行為がある。

必要書類

商業上の実施行為を証明する書類(例えば、カタログ)。

加速審査(AEP)

請求可能時期

審査請求済みで審査開始通知書受領後。

請求事由(以下のいずれか)

  1. 対応外国出願が特許査定された場合
  2. 日本、米国、欧州の特許庁から審査意見通知書・検索報告書が発行された場合(特許査定前)
  3. 出願人による商業上の実施に必要な場合
  4. グリーン技術と関連がある発明である場合

必要書類及び費用

事由(1)で申請する場合

  • 公告されたクレーム(又は特許査定書と公告予定のクレーム)。中国語訳必要。
  • 外国出願の審査過程における全ての審査意見通知書及び検索報告書。中国語の要約が必要。
  • 対応外国出願のクレームと台湾出願のクレームとの相違点の説明。中国語訳必要。
  • 審査意見通知書及び検索報告書で引用された特許公報以外の引用文献
  • 申請費用は無料

事由(2)で申請する場合

  • 公告されたクレーム(又は特許査定書と公告予定のクレーム)。中国語訳必要。
  • 外国出願の審査過程における全ての審査意見通知書及び検索報告書。中国語の要約が必要。
  • 対応外国出願のクレームと台湾出願のクレームとの相違点の説明。中国語訳必要。
  • 審査意見通知書及び検索報告書で引用された特許公報以外の引用文献
  • 申請費用は無料

事由(3)で申請する場合

  • 商業上の実施行為を証明する書類(契約書、カタログ等)
  • 申請費用:NT$4,000

事由(4)で申請する場合

  • 発明がグリーン技術と関連があることを証明する書類
  • 申請費用:NT$4,000

日台特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway 略称PPH)

請求可能時期

審査請求済みで審査開始通知書受領後、且つ最初の審査意見通知がされるまで。

適用条件(以下全ての条件を満たす必要がある)

  1. 対応外国出願が特許査定された場合
  2. PPHを申請する台湾出願及び対応する日本出願において、優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が同一である。
  3. 対応する日本出願が存在し、そこで特許可能と判断された一又は複数の請求項を有する。
  4. PPH申請を行う台湾出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されている。

必要書類及び費用

  • 日本審査で引用された非特許文献
  • 台湾出願と対応日本出願のクレームの対応関係を示す書面
  • 申請費用は無料

PPHの効果

よくある質問

Q

優先権基礎出願がPCT出願であり、国際調査報告(ISR)で特許性ありと記載されている場合、台湾で早期審査やPPHを利用できますか?

A

できません。AEP及びPPHともに各国で実体審査を経てOAが出されたか特許可能と判断されたことが必要です。台湾特許庁は国際調査報告を各国での実体審査とは認めていません。

Q

PPHの場合、対応日本出願の拒絶理由通知や引用特許文献は不要ですか

A

不要です。通常、台湾特許庁は日本特許庁の高度産業財産ネットワーク (AIPN;Advanced. Industrial Property Network)から拒絶理由通知や引用特許文献を入手できるため、当該書類を提出する必要はありません。ただし、非特許文献についてはAIPNから入手できないため、提出する必要があります。

Q

対応出願で未だOAも出されておらず特許可能とも判断されていない場合、早期権利化させる別の方法はありますか?

A

出願人が設立から5年未満である場合、スタートアップ企業積極型専利審査(2021年1月から、期間限定)を利用することで早期に権利化が可能となります。詳細は弊所ニュースレターVol.73(こちら)をご参照ください。なおスタートアップ企業積極型専利審査は申請数上限に達したため、申請は締め切られました(2021年3月19日台湾特許庁公布)。

 

购物车

登入

登入成功